『空海の思想について』 梅原猛
日本で知らない人はいない空海であるが、
いったい何を語ったのかといえば、これは非常に難しい。
この本を読んだからといってわかるとも限らないが、
梅原氏の肉声のコメントは非常にわかりやすい。
梅原氏はハイデッガーなど西洋哲学の研究から
哲学の道に入った人であるが、途中から仏教に目覚め、
仏教に関する多くの書を著している。
中でも梅原氏が空海の思想を好む理由は、
身体性の原理の肯定、世界の差異の肯定であるという。
西洋思想の持つ精神世界の一元論では、人間の肉体は
思想の上ではじゃまなものとされていたが、むしろ人間の
身体こそがわれわれのよりどころであり、だからこそ身体・
物質の存在を肯定するというのが空海の思想だそうだ。
アメリカ一国支配も崩壊し、西洋中心主義的な考え方では
立ち行かない昨今、空海の思想に将来の日本の活路を
見出せるかも知れない。


