2010年08月31日

『OUT』 桐野夏生

ドラマや映画にもなって既によく知られた小説なので
いまさら紹介でもないですが、弁当工場の夜勤で
働く主婦4人が日常生活からはみ出し、犯罪に手を
染めていく話です。

きっかけは彼女らの内の一人が衝動的に夫を殺害して
しまうことから始まります。主婦たちは仲間をかばうために
その夫の死体をバラバラにして事件を隠蔽しようとしますが、
それは二度と元の生活には戻れない奈落への第一歩
だったのです。

下巻からは先が気になって一気に読んでしまいました。
ストーリーにひねりが利いているし、登場人物も個性があると
いうか、ひとりひとり大きな欠点を抱えていて、
「あ、こういう人いるかも」と思わせてくれます。

時代性の強い作品は10年以上前にもなると、なんとなく古臭さが
ただよってくるものですが、この小説はそんなことはありません。
格差社会と言われるいまこそ、より恐さを実感します。

ただ、今だったら主婦たちは携帯でやりとりするんだろうな〜とは
感じましたが。

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桐野夏生
講談社
ISBN:9784062734479
2002年06月発売 文庫
700円(税込)


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2010年08月27日

不味い!

世の中の不味いものばかりを集めた本です。
この飽食の時代にこれだけ不味いものがあったかと
おどろきますが、あ〜なるほどと思うものが
次々と出てきます。

山奥の旅館にせっかく来たのに、どこでも食べれる
ようなマグロの刺身が出たり、「幕の内弁当」と
名のつくものはなぜかどれも不味かったり・・・。

もちろん、古今東西のゲテモノもいろいろ。

カラスの肉まで食べたそうです。
小泉武夫さんって、すごい人ですね。

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小泉武夫
新潮社
ISBN:9784101259413
2006年01月発売 文庫
420円(税込)


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2010年08月20日

『印度放浪』 藤原新也

藤原新也の処女作で、青春旅行記の金字塔。
若者が「自分探しの旅でインドに行く」というのは
ここから始まったのではないだろうか。

私が学生のころはインドがあまりに月並みになって
しまって、私自身インドには行ったことがないし、
この本も改めて読んだことはなかった。

今読んで、藤原新也が極めて簡潔な言葉で
人の心を突き刺してくることに驚かされる。
この文章力はとてもまねできるものではない。

また、写真をあくまで伝える手段として
割り切って使っていることも初めて知った。
よく「写真家」として紹介されているが、
むしろ「作家」だと思う。

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藤原新也
朝日新聞出版
ISBN:9784022607744
1993年06月発売 文庫
1,050円(税込)


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2010年08月15日

山風短

忍者物の時代小説の大御所、山田風太郎の
小説をコミックに仕上げた作品。

時は豊臣秀吉の死後、徳川家康が天下取りに
向けて暗躍し、上杉家では徳川に兵をあげるか
どうかの決断を迫られていた。

その時上杉家の宿老の前に現れた一人の美少女。
屈強な荒武者を造作もなく組み伏せるその武道の
技はただものではない。いったいその正体は・・・。

衆道と呼ばれた同性愛の世界も描かれ、
怪しさ満載の山田風太郎の世界が、コミックでよみがえります。

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せがわまさき/山田風太郎
講談社
ISBN:9784063759495
2010年08月発売 コミック
650円(税込)


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2010年08月13日

『乙女の密告』 赤染晶子 <文藝春秋掲載>

芥川賞受賞作です。

京都の外国語大で女生徒たちがスピーチコンテスト
に向けて奮闘する。
スピーチの題材は「アンネの日記」。設定は日常的
だが、巧妙に「アンネの日記」とからめて、
ユダヤ人差別や迫害、人種のアイデンティティという
問題へと読者をいざなう。

一番恐ろしいことは、「アンネの日記」の時代の
ユダヤ人迫害を、過去の事件として片づけ、
忘れ去ってしまうことである。
この小説は言葉の力を巧妙に用いて、アンネ・フランクと
いう名前の少女を現代によみがえらせた。

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赤染晶子
新潮社
ISBN:9784103276616
2010年07月発売 単行本
1,260円(税込)


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2010年08月09日

『紅嵐記』 藤水名子

元朝末期から明朝を築いた朱元璋の台頭までを
描いた壮大な群像劇。

モンゴル人の少年が漢族の料理に魅せられて
料理人を志して出奔するという出だしは面白かった
のですが、主人公的な扱いの人物が何人もいて
小説としてはまとまりに欠ける感があります。

朱元璋はもちろん、トクトや張士誠など史実の
登場人物も多数登場し、歴史ファンとしては
そそられる設定だっただけにちょっと残念でした。

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藤水名子
講談社
ISBN:9784062766869
2010年06月発売 文庫
630円(税込)

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2010年08月07日

失敗学実践講義文庫増補版

一歳から十九歳までの子供の死因の第一位は
病気ではなく、不慮の事故だそうです。

われわれは普段安全な場所で生活していると
思いがちですが、実は思いがけない危険が
隣に潜んでいるかも知れません。
六本木ヒルズの死亡事故が起こるまで、誰が
回転ドアは危険だと知っていたでしょうか?

何か事故が起こると、当事者だけの責任が
追及されて終わってしまうことが多いですが、
もっと『失敗』を活用して、事故の少ない安全な
社会を作ろうというのがこの本の主旨です。

『失敗』を知的財産として活用しようという考えは
企業経営にも応用できると思います。
クレームが発生したときに、その担当者を責めるの
ではなく、よりクレームが発生しにくいやり方は
ないのか考えることが重要だと思います。

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畑村洋太郎
講談社
ISBN:9784062766135
2010年05月発売 文庫
580円(税込)

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