『蒼穹の昴』浅田次郎
中国清朝末期を舞台にした大河巨編です。赤貧の少年春児(チュンル)が
占い師の予言を信じて都に上り、権力の座に上り詰めていく物語ですが、
西太后や李鴻章と言った実在の人物が登場し、史実を踏まえながら物語が
展開するのが、歴史ファンにはたまりません。物語自体はフィクションですが、
それを感じさせない重厚な時代考証となされています。人物描写も、登場人物
ひとりひとりが魅力的に描かれています。
近年躍進を見せる中国ですが、100年以上前にも多くの優秀な若者たちが、
中国の近代化に生涯を賭け、夢破れていった悲劇的な姿がこの小説には
描かれています。中国の長い雌伏の時間が、今の中国の発展の背景にある
ことを思えば、まさに時を得て書かれた小説だと言えます。
中国迷(マニア)としてひとこと。
登場人物の名前に中国語読みのルビがつけられているのが、イイ!!
他の時代小説には見られない、秀逸な演出です。「りこうしょう」って呼ぶより
「リーホンチャン」って呼んだほうが、強そうでしょ?
わかってもらえませんかね?
