『眠れる美女』川端康成
ごぞんじ川端康成先生の作品に、こんな話があるとは知りませんでした。
すでにおとこでなくなった老人たちが通う宿。そこでは美しいきむすめが
眠らされたまま全裸で横たわる。眠っているため言葉を交わすこともでき
ない。ただ目で観賞し、手で触れるだけ・・・。そんな異常な設定ですが、
読んでいるうちにそれを異常と感じなくなっていくのが恐ろしいです。
終わり方が唐突な印象がありますが、巻末の三島由紀夫の解説を読む
とその意味がわかります。
男はいつまでも自分勝手に夢を描き、女はその夢の対象になりながら、
そんな男の思いは記憶にも残さないものなのでしょうか。
川端康成がこれを記したのが主人公の年齢に近い61歳の時。
その12年後に自死しています。この小説を読んで、当時の彼が時代の
暗部を見つめながら何を想っていたか、少しわかるような気がしました。

