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2006年10月26日

『夢を与える』 綿矢りさ (文藝 2006冬号)

あの綿矢りさが沈黙を破って書いた新作小説、と紹介すれば
手に取る理由としては十分ではないでしょうか。
今発売中の「文藝」に彼女の新作「夢を与える」が掲載されて
います。単行本になるのを待ちきれず、読んでしまいました。

子役として小さいころから注目される女の子がタレントとして
ブレイクする中である事件に巻き込まれます。登場人物それ
ぞれが主人公としての輝きを持ちながら、マスコミやインター
ネットが絶大な権力を持つ現在社会に翻弄されていきます。
マスコミの描写が非常にリアルなのは、文壇アイドルとなって
しまった著者の経験のなせるわざでしょうか。

前作でも話題をよんだ性描写は、今回もきまじめに出てきます。
作家の表現力が秀逸なので目のやり場に困ります。

この作品の続編も含め、これからの作品が楽しみな作家です。

出版社 河出書房新社
税込価格 1,200円(本体1,143円+税)

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2006年10月22日

『パパとムスメの7日間』 五十嵐貴久

けっこう笑えます。電車の中で読んでいてもついつい笑ってしまい、
周りから変な人と思われたかも知れません。
心と体が入れ替わるハナシは映画「転校生」などいろいろあります
が、イマドキの父親と娘が入れ替わると、ここまで言語もカルチャーも
違うかと、改めて思い知らされます。入れ替え期間は7日間と短め
ですが、これ以上長いとお互いの世界に耐えられないのかも。
ダイエットを気にしていたムスメがパパの体に入れ替わったとたん、食欲の
おもむくままに食べ始めたり、細かいところまでリアルに描写されて
いるので、あー確かにこうなるかもな、と新鮮な感じがしました。
女子高生ってみんな携帯メールは両手で打つんですか?わたしも
オジサンかなぁ。

出版社 朝日新聞社
著 者 五十嵐貴久
税込価格 1,785円(本体1,700円+税)

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2006年10月17日

『日本以外全部沈没』筒井康隆

いわずと知れた小松左京「日本沈没」のパロディです。
日本以外のすべての国が海に沈んでしまい、アメリカ
大統領やハリウッド俳優がこぞって日本に難民に来る
話です。
ところで、「日本以外全部沈没」の映画を見ました。
渋谷でレイトショーしかやっていない、超B級物です。
実相寺昭雄監修、河崎実監督と聞いたらだまって
いられません。期待にたがわぬB級ぶりで、思わずAttack of the killer tomatoes
を彷彿としました。
主役には小橋賢児、柏原収史となかなかの人選。
将来有望な若手俳優がこんな映画に出て大丈夫
なのか、とかえって心配になります。
映画は今の時流に合わせて多少アレンジされて
います。主人公を夫婦にして話を広げたのは秀逸
です。とりわけ柏原収史夫妻の平和ボケぶりは
必見です。
北朝鮮の核実験でゆれる昨今、上映禁止に
なりかねないので、ぜひ早めに見に行ってください。
といっても興味のない人やB級映画が嫌いな人は
行かないことをお勧めします。

出版社 角川書店
著 者 筒井康隆
税込価格 580円(本体552円+税)

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2006年10月12日

シュリーマン旅行記清国・日本

トロイ遺跡を発掘したシュリーマンが実は幕末の日本に来ていた!
シュリーマンって人は何か商売で大もうけして、子どものころに読んだ
伝説の中のトロイの町は本当にあったんだ!と信じて、めぼしいところを
掘りまくった結果、ついに本物の遺跡を発見してしまった偉人ですが、
お金があるのをよいことに、当時の日本と中国を旅行していたそうです。
19世紀半ばにヨーロッパ人が日本まで旅するなんて、今で言えば宇宙
旅行
をするような感覚でしょうね。

しかし、このシュリーマンさんはやはりただものではなく、手記は非常に
緻密に描かれ、読んでいる私たちも当時の日本を旅している感覚に
襲われます。娼婦が職業として認められ、娼家に売られても読み書き
そろばんをはじめとした基礎教育が受けられ、将来は結婚の道も開けて
いたこと。お金をもらうことを最もとし、シュリーマンがお礼のつもりで
小銭を渡しても頑として受け取らない武士たち。この本を読まれると
文化の違う外国のように当時の日本が浮かびあがり、むしろシュリーマン
の方に共感を覚えることでしょう。今の日本より幕末の日本の方が美しく
誇らしく思えるのは私だけではないと思います。

出版社 講談社
著 者 ハインリヒ・シュリーマン 石井和子
税込価格 840円(本体800円+税)


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2006年10月07日

クーリエ・ジャポン 「早期教育」

育児に関する情報はすでに世の中にあふれていて、一体どれを信じれば
いいんだ?という世の中ですが、あえてクーリエ・ジャポンは「早期教育」
特集です。赤ちゃんにほんとうに必要な教育とは何なのか?米タイムの
記事はそんな問いかけにひとつの回答を示しています。現在進行形で
子育てをしている私にとって、非常に共感できるものでした。
阿部晋三に関する世界のメディアの寸評や、韓国人男性と結婚して韓国に
暮らす女性についてのコラムなど、日本とアジア諸国との関係を考える上で
意義深い記事の多い中、とりわけ目を引いたのは最近公開された「東京裁判
という中国映画に関するものです。中国のスタッフの手によって、東京裁判を
出来る限り事実に即して作られた映画とのこと。靖国問題でもめているこの
時期に、いったいどんな映画なのか知りたい!という方は、こちらのブログに詳細が出てます。
余談ですが、F4の朱孝天も出てます。
あと、必見はムスリム初のミス・イングランド、アフガン難民出身の大学生、
ハサマ・コヒスタニさんです。今まで見たことのない種類の美しさ。男性のみ
ならず女性も心を動かされるのではないでしょうか。

講談社
毎月第1・第3木曜日発売
定価:480円

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