『東京島』 桐野夏生
絶海の孤島に漂着した32人。そのうち女は
清子たった1人だった。極限の状態で果たして
彼らは生き延びて脱出できるのか。
いつしか人々はこの島をトウキョウ島と名づけ、
清子は唯一の女性として島に君臨する・・・。
販売開始を記念した桐野夏生さんのトークショーに
参加する機会がありました。桐野さんは「ロビンソン・
クルーソー」のような無人島の話がもともと好きで
いらっしゃったそうですが、戦争中に太平洋上の
孤島に男32人と女性1人が7年ほど生活した
「アナタハン島事件」という事件が本当にあった
そうで、その事件からも着想を得られたということです。
作中に「ものに名前が付けば、意味が生まれ、認識され、
世界が確立する」というくだりがありますが、「主人公に
”清子”と名前を付けたのはなぜですか?」とたずねた
ところ、「ありふれた、昭和のかおりのする名前をつけた
かった」のだそうです。
エンターテイメントを超えた、生存と性という人間の根源
をするどくえぐり出す小説です。最後はどうなるのか?
おしまいまで読者の心をつかんで離しません。

