『マイナス・ゼロ』広瀬正
48歳で早世した広瀬正の長編タイムトラベルSFです。
広瀬正は高校のころ、『ツィス』や『鏡の国のアリス』を
読んでおもしろいと思っていたのですが、この『マイナス・
ゼロ』は未読だったので、興奮しながら買いました。
始まりは終戦間際の東京。中学二年生の浜田俊夫は
空襲で息を引き取ろうとしている隣家の先生から「18年後
にまたこの場所に来てほしい」と不思議な依頼を受ける。
そして約束の日、彼の前に現れたものは・・・。
ボリュームのある長編ですが、おもしろくてどんどん読めて
しまいます。昭和初期の描写が緻密で臨場感があるのに
加え、作品の舞台である昭和38年の東京も現在からすると
『過去』の世界なので、二重にタイムトラベル気分を味わえ
ます。
ただ、読後のスッキリ感はあまりありませんでした。解決
されない謎も多く、パラドックスがそのまま残されていて、
じゃあこの人はいったいどこから来たんだ!!と叫びたく
なりました。

