『スギハラ・ダラー』 手嶋龍一
書店の役得で、発売前に読ませていただきました。
ベストセラー間違いなしの大作です。
日本の外交官・杉原千畝が、ナチスに迫害された
ユダヤ人に発行した「命のビザ」。人道的美談として
語られる逸話だが、その背後には実はブラックマンデー、
9.11、リーマンショックといった金融危機にも影響を与えた
ある組織の存在があった。
『ウルトラ・ダラー』のスティーブンとマイケルのコンビが、
9.11の謎を解くうちに、「命のビザ」で極限の逃避行を
生き抜いた「スギハラ・サバイバル」に行き当たる。
果たして彼らにその謎は解けるのか・・・。
壮大なスケールで描かれる「スギハラ・サバイバル」たちの
人間ドラマ。そして彼らの行く先が、世界外交や金融危機の
背後に隠れる悪魔のシナリオへとつながるストーリーは
読者を興奮させます。
先日瀬島龍三の本を読んだときも、台湾沖航空戦が虚構の
勝利であるという情報をつかみながら、参謀本部がそれを
もみ消したためレイテの致命的が敗戦を招いた話がありました
が、杉原千畝が築いた情報網のおかげでヤルタ密約の情報が
参謀本部に届けられていたのに、それを黙殺したために
原爆投下まで終戦工作が進められることがなかったという
話が本作で触れられます。日本の組織はどうしてこうなるのか
果てしない悲しみに襲われます。

