塩野さんは無類のカエサル好きだそうで、「ローマ人の物語」の中で
一番のおすすめは、このユリウス・カエサルのルビコン以前、ルビコン以後
だ、と聞いたので、そのとおりに読んでみました。本当に一番のおすすめか
どうかは、まだ他の巻を読んでいないので論評する段にありませんが、
このユリウス・カエサルは間違いなく秀作です。
カエサルというと武人のイメージでしたが、若いころはむしろ弾圧され、権力に
上り詰めるまでには政治力を駆使する必要があったこと、当時のローマが
すでに非常に整備された法治国家であったことなど、この本を読んで初めて
知りました。
学生のころにローマの歴史を勉強した時は、非常にわかりずらい印象がありました。
日本の場合は足利家が滅びれば室町幕府はおしまい、中国の王朝も血統が
滅びれば王朝も滅亡とわかりやすかったのですが、ローマの場合は皇帝の血統
がとだえても、帝政は続いていきます。
それも、共和制のローマの時代から脈々と続いた、法による支配があるからだ、
と始めてわかりました。
塩野さんはこの15年間、「ローマ人の物語」を書くために他の全ての仕事を犠牲にし、
英語やイタリア語の文献はもちろん、キケロやカエサル自身が残したラテン語の資料
まで読みとおしたそうです。それに塩野さんの深い人間心理の洞察が加わったこの
「ローマ人の物語」は日本が世界に誇れるローマ史研究の集大成といえるのでは
ないでしょうか。これからひとつひとつ読んでいくのが楽しみです。
そうそう、ガリア戦記のところで「アステリクス」が登場したのが個人的には最高に
うれしかったです。アステリクスはフランスでとても人気のあるマンガですが、
主人公はカエサルに抵抗するガリア人たちで、ちょっとドタバタっぽいないようです。
何シリーズも出版されていて、中にはセリフが全てラテン語で書かれたバージョン
まであります。なぜこの話がこんなにフランス人の間で人気があるのかずっと不思議
だったのですが、塩野さんの解説を読んで理解できました。
アステリクスの英語の紹介サイトはこちら
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