日本語は美しい、とあたまっから決め付けたタイトルにひかれて買いました。
しかし、読んでみたところ内容にはどうも共感できません。
冒頭に「アサ」という発音には開放感があって「morning」はくぐもった優しさ
がある、とこの本は主張してるんですが、そういう風に感じるのは日本人だから
そう思うのであって、果たしてアメリカ人やイギリス人もそう感じるわけではない
のでは?とのっけから批判的になってしまいました。読み進むうちに、この著者の
持論として言葉には発音体感があってそれが言葉の本質であり、ソクラテスの例を
引用してそれが洋の東西を問わず普遍的であるかのように書かれています。
しかし、発音体感というものが仮にあるとしても、同じ「ア」という発音を聞いて
想起する事象は、母語としている言語によって大きく異なるし、個人によっても
異なっているのではないか、と思います。Kは硬いとか、Tは粘性のある液体、
Yはゆらぎとか言ってるんだけど、どうも納得できません。
あと、母音語と子音語という話が出てきて、日本語は母音骨格で音声認識する
母音語で世界のほとんどの言語、英語、フランス語、韓国語、中国語は子音骨格
で音声認識する子音語と分類しています。しかし、中国語の音声認識で重要な
のは四声であって、四声が正しいと多少子音の発音があやしげでも、言葉が
通じたり、聞き取れたりするものです。言語の世界は広大で、世界には何千という
言語があるわけだし、同じ中国語でも地域によってぜんぜん違うし、日本語も
古代の日本語は今とぜんぜん違って、母もファファとか発音していたっていうから、
この言語は母音語とか、簡単に白黒つけて分類できるものではないように思います。
英語だけじゃなくて、もっと中国語とアラビア語とインドネシア語とモンゴル語とか、
ぜんぜん毛色の違った言語を10ヶ国語ぐらい勉強している人が「日本語は美しい」
と言ってくれたら、もっと説得力があるのにな、と思いました。
しかし、この本の「早期英語教育礼賛は考え物」という主張には全面的に賛成
します。三歳までの母語形成期になにより大切なのは母親が幸せであること、
という意見も大賛成です。ご自身も子育てされた経験をもたれているので、
教育面の提言はなるほどと思う内容が多いです。子どもの母語形成を豊かな
ものにしたかったら、夫は子どものことより妻の精神状態に気を配るべきだそうです。
うーんなっとく。父親ってその程度のものだよなぁ。
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