中国の生成AI
2月28日に中国IT大手、百度(バイドゥー)の2023年第4四半期決算が発表されました。売上も純利益も前年より増加して、好調な決算です。百度は検索やクラウドサービスが事業の柱ですが、百度の発表によれば、昨年サービス開始した生成AIサービスの「文心一言(ウェンシン イーイェン)」がすでに収益に貢献していて、2024年には広告収入とAIクラウド事業で数十億元(1元=約20円)の増収が見込まれるそうです。百度全体では1000億元以上の収益がありますので、比率はまだ小さいですが、生成AIが早くも収益につながっているというのは、インパクトが強いです。
中国の生成AIの分野はアップルのランキングによれば、TikTokを運営するバイトダンス(字节跳动 ツージエ ティアオドン)が運営する豆包(ドウバオ)がランキング1位で、文心一言は2位、讯飞星火が3位となっています。文心一言は1位にはなっていないわけですが、百度の創業者李彦宏は文心一言の収益力に自信を持っています。百度は中国IT大手BAT(百度、アリババ、テンセント)の一角ですが、新型コロナウイルスの影響で収益の柱の広告収入が落ち込み、経営的に苦しい時期を過ごしていました。文心一言が百度にとって起死回生の一打となると、大きな期待を持っているようです。
中国ではGoogleやFacebook、LINEなど、日本では日常的に使われているサービスを使用することができませんが、日本で大きな話題になっているChatGPTも、やはり使用することはできません。グローバルな会社のサービスが使えない代わりに、BATを中心とした中国の企業が同様のサービスを提供しています。世界市場とは切り離された、巨大なガラパゴスを形成している中国のIT産業ですが、生成AIの分野でも、中国国内の需要を取り込みつつ、独自の進化を遂げようとしています。