柯文哲の逮捕

台湾民衆党の党首、柯文哲が逮捕されました。柯文哲側は家宅捜索に正当な根拠があるのか疑義を呈していますが、彼の逮捕によって民衆党の政治的影響力の低下は否めません。

台湾や韓国は選挙による政権交代が実現していて、日本よりも民主主義が機能していると言えると思います。ただ、その一方で、いったん政権を失うと、必要以上に苛烈な攻撃を受ける印象があります。韓国では大統領経験者の多くがまともな死に方をしていないと言われますが、台湾も傾向としては似たものがあります。初の民進党の総統になった陳水扁は汚職の罪で実刑判決を受けましたし、陳水扁の後に総統になった、国民党の馬英九も横領や情報漏洩の罪で起訴されています。

柯文哲は8年間台湾市長を務めましたが、任期中に民衆党を結党し、国民党や民進党などの既存政党に不満を持つ若者層を中心に支持を集めて、2024年の総統選挙でも有力候補の一人でした。今回の逮捕に政治的な力が働いているのかどうかはなんとも言えません。

日本人の目から台湾の選挙をながめると、盛り上がりすぎているというか、なかなかに過激で、粗削りな印象を感じます。民主主義の総本山というべきアメリカでも、トランプ元大統領が選挙結果の操作や機密文書の持ち出しの容疑で起訴されていますので、台湾の民主主義ばかりが問題だともいえないでしょう。反対に、日本の選挙がおとなしすぎるのかも知れません。