北京オリンピックのスターになった谷爱凌
中国のオリンピックのニュースを最もにぎわせているのが、谷爱凌(グー アイリン)です。女子フリースタイルスキーのビッグエアで大技を成功させ、見事金メダルに輝きました。父がアメリカ人、母が中国人でアメリカで育ちましたが、今回のオリンピックでは中国代表として出場、スキーの実力もさることながら、モデルとしても活躍するほどの美貌を持ち、SATというアメリカの大学入学試験で満点に近い点数を取って、名門スタンフォード大学に進学するという、すべてを兼ね備えた完美(ワンメイ)な18歳の女性です。
中国で有名なスポーツ選手と言えば、バスケットボールの姚明(ヤオミン)、2008北京オリンピックに出場した刘翔(リョウシャン)が代表的ですが、スポンサーを集める力では、すでに彼らを凌駕しています。25社の企業と契約をし、契約金は1社2000万元(約3億2000万円)と言われています。今回の金メダルで、この金額もさらに上がると思われます。
いま、彼女に関するマスコミの取り上げ方は、ほぼすべて好意的なものばかりです。政府が全力を傾けて開催にこぎつけた2022北京オリンピックが成功裏に終わるためには、ヒーローの存在が必要です。夏のオリンピックではメダルを量産する中国ですが、ウィンタースポーツでは歴史も浅く、この記事を書いている時点では、まだ中国の金メダルは3個です。谷爱凌のような非の打ちどころのない金メダリストは、まさに時代が望んでいたヒーローと言えるでしょう。ただ、彼女はアメリカ育ちらしく自分をしっかり持った女性で、発言も歯に衣着せません。彼女と中国のマスコミの蜜月がいつまで続くかわかりませんが、彼女のような存在が中国をより自由に変えていくように期待したいと思います。