テスラ VS 比亚迪

中国のEV市場で、テスラと比亚迪(BYD ビーヤーディー)が猛烈なシェア争いを繰り広げています。もともとテスラが中国市場でも先行していましたが、昨年の2022年から中国企業の比亚迪が猛追を仕掛けてきました。

同価格帯の車種で比べると、テスラのModel3/Yと、比亚迪の汉(漢)、唐クラスの中国での販売台数を比較すると

2021年 テスラ:32万台  比亚迪:17万台

2022年 テスラ:44万台  比亚迪:42万台 

比亚迪が2022年には大きな躍進を果たしました。それに対抗してテスラが昨年の秋から10%ほどの値下げを行ったため、2023年に入ってからの比亚迪の販売台数は鈍化し、特に売れ筋の汉系列の販売台数は昨年の数字から比較すると半分近い減少を示しています。

もともと比亚迪が快進撃を続けてきた背景には、利益率を犠牲にして、低価格での販売と、R&Dへの投資を続けてきたということがありました。テスラが最初はハイエンドのマーケットを獲得し、徐々にローエンドへの浸透を図る、自動車販売戦略の王道を取っていたのに対し、追いかける立場の比亚迪は、最初からローエンド市場での絶対優勢を狙ってきました。一方、対抗して価格を下げてきたテスラの方も、粗利率が2022年は25.6%でしたが、2023年の第一四半期には19.34%と下落しています。対する比亚迪の粗利率は2022年末は17%でしたが、2023年の第一四半期は17.86%と上昇しています。

両者熾烈なシェア争いを続けており、どちらが優位に立つか予断を許しません。日本もいずれはこの争いに巻き込まれるのではと思います。