バイナンスが迎える危機

先月世界第2位の規模だった暗号資産取引所のFTXが破綻し、日本でも大きなニュースになりました。いま、世界第1位の取引所であるバイナンスも、その信用が大きく問われています。

バイナンスは中国語では币安(ビーアン)と表記し、創業者は赵长鹏(ジャオ チャンポン)という人物です。カナダ国籍ですが、生まれたのは中国江蘇省で、子供の時に父親に連れられてカナダに移住しています。ピンインではZhao Changpengと書くことから、CZという通称を名乗っていて、Twitterのアカウントもcz_binanceになっていますが、中二病っぽい通称だと感じます。ちなみにプロフィール画像もお金持ち感満載です。カナダ国籍のために中国人の長者番付には登場しませんが、実は一番の資産家は赵长鹏だという話もあります。

赵长鹏自身はバイナンスの信用不安を真っ向から否定していて、最近では休暇でスノボをしている写真を上げたり余裕の姿勢でいますが、1日で30億ドルもの資金がバイナンスから流出した、とも報じられ、信用不安は収まっていません。その原因は、FTXの破綻によってビットコインやイーサリアムといった暗号資産が暴落し、暗号資産そのものの信用が低下していることと、バイナンス自身の会計の不透明性によるものだと言われています。

FTXの破綻の直接の原因を作ったのは赵长鹏で、みずからが保有するFTT(FTXの独自トークン)を、すべてを売却したためにFTTが暴落し、FTXの資金繰りは急速に悪化しました。しかし、もともと赵长鹏がそれだけのFTTを持っていたということは、バイナンスとFTXの関係は当初は良好で、同じ穴のムジナという感じがします。

中国国内では、暗号資産の取引は政府によって禁止されてしまいましたが、こうして暗号資産業界のメインプレーヤーに中華系の人物が登場するのをみると、中国人のバイタリティを感じずにはいられません。