メイソウと「三宅順也」

3月31日、名創優品(名创优品 ミンチュアンヨウピン)が香港商品取引所への上場を申請しました。中国の「十元店(シーユエンディエン)」、いわゆる100円ショップの最大手ですが、カタカナで「メイソウ」と書かれた赤い看板が有名です。一見してユニクロと間違えそうなデザインは、「これだから中国企業は・・・」と言いたくなる「パクリ企業」ですが、全世界で5000店舗を有し、ニューヨーク市場にも上場している大手企業に成長しました。

名創優品は湖北省出身の葉国富(叶国富)と楊雲雲(杨云云)夫妻が創業した企業で、当初は「哎呀呀(アイヤーヤー)」という名前で店舗を展開していました。しかし2013年に葉国富が市場視察に日本を訪れた時に、日本の100円ショップの質の良さに感銘を受けて、日本人のデザイナー「三宅順也」氏を共同経営者に招いて、自分の店をすべて日本風に変えたといいます。

この「三宅順也」というデザイナーですが、メイソウの店舗に大きな顔写真が掲げられ、高田賢三、三宅一生、コシノジュンコらが卒業した日本の文化服装学院でデザインを学んだデザイナーとして大々的に宣伝されていました。しかし、彼の業績はこの「メイソウ」以外には見当たらず、世界的なデザイナーと並び称されるほどの実力があるのかは不明です。

2021年後半6か月の売り上げは、前年同期に比べて24.2%増、粗利益は36.3%増と、業績は好調です。コロナの打撃から中国の消費が回復していることと、地方都市への出店を拡大しているのが功を奏しているようです。10元より高い雑貨も豊富に取り揃え、Z世代と言われる若い世代に人気があるようです。2021年の年商は90億元(約1440億円)で、ダイソーの5262億円とはまだかなり差がありますが、企業の規模が質を作っていくという側面もあると思います。今回の香港市場での上場で、パクリではなく、真の実力を持てるかどうかが試されることでしょう。