四月之声と之江新軍

上海では厳しいコロナ対策で、市民は厳しい生活を強いられています。上海の市民の窮状をまとめたドキュメンタリー「四月之声」(スーユエジーシェン)が中国でバズっていますが、アップされるたびに政府が削除するという状況が続いています。「四月之声」で検索すれば、YouTubeでも動画が出てきますので、興味のある方はぜひご覧ください。6分くらいの短い動画ですが、ナレーションがなく、上海の街の風景を背景に、淡々と政府の会見や市民の声が流れます。食料がない、病院に行けない、買主が隔離されている間に飼っているコーギーがたたき殺された、などいま中国で何が起こっているか、知る材料になると思います。もちろん、中国語の学習にも役立ちます。

これだけ大きな問題を起こしている上海のコロナ対策ですが、上海の共産党のトップ(共産党上海市委員会の書記)の李强(リーチアン)が更迭される様子はありません。李強は「之江新軍」のメンバーなので無事なのだ、という説もあります。「之江新军」(ジージアンシンジュン)とは、習近平(习近平(シージンピン))が浙江省書記だった時に、党の幹部として彼の周りを固めていた、いわば習近平の側近人脈です。現在の首相の李克强(リーカーチアン)は共青団(中国共産主義青年団)出身で、頭脳明晰な人物として知られていますが、習近平の側近人脈ではありません。今年行われる第20回党大会(中国では二十大(アルシーダー)と呼ばれます)で習近平が3期目の国家主席の続投を決めると言われていますが、李强氏は次の首相になるとも噂されています。

「之江新军」の存在自体が噂レベルの話で、二十大の結果がどうなるかは予断を許しませんが、中国のネットで「之江新军」を検索してもエラーになるそうなので、政府もこの噂に対して神経をとがらせているのは、確かなようです。