五眼連盟

中国のニュースを見ていると、五眼联盟(ウーイェン リェンモン)という言葉が出てきます。日本の漢字で書けば「五眼連盟」となりますが、あまり聞きなれない言葉ではないかと思います。

英語のfive eyes allianceという言葉がもとになっていますが、アングロサクソン系のアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5つの国で構成される機密情報共有の枠組みのことです。1950年代に成立し、電話やメールを傍受する施設を相互活用し、得られた情報を分析しているとのことです。簡単に言えば、共同してスパイ活動やテロ活動に対抗していこうという枠組みではないかと思います。

ウクライナ危機以降、日本のテレビの報道を見ると、ロシアと中国を同盟国としてとらえる見方が目立つようになりました。逆に中国から世界情勢を見た場合、この五眼联盟が中国の「敵」として見えているようです。アメリカ、イギリス、オーストラリアがそれほど強固な同盟関係かと言えば、実際それぞれ立場が異なり、決して一枚岩ではないですが、「五眼联盟」としてくくられた時、中国の発展を妨げる存在として見えてきます。华为(ファーウェイ)の副社長の孟晚舟氏が2018年にカナダで逮捕された事件は、象徴的でした。1000日に及ぶ拘留の後中国に帰国した彼女は英雄視され、到着する空港には出迎える一般の人があふれ、国家を合唱して彼女の帰国を祝福しました。

相手を理解するうえで、自分から見た視点ばかりではなく、相手の視点から見た時の見え方を知ることは重要だと思います。五眼联盟という言葉は、中国の政府や、人々の行動を理解するうえで、知っておくべき言葉だと思います。