コロナにまつわる新語

中国ではゼロコロナ政策が事実上解除された結果、感染者が大量に発生しています。コロナにまつわる新語を取り上げてみたいと思います。

大白(ダーバイ)

大白(ダーバイ)はもともとディズニー映画に出てくるベイマックスのことを指していましたが、新型コロナウイルスの流行とともに、消毒や物資を届ける作業を行う、防護服に身を包んだ係員のことを大白と呼ぶようになりました。中国のコロナ政策が功を奏していた時は大白もまさに「正義の味方」という感じで、マスコミがこぞって大白の活躍をとりあげていましたが、ゼロコロナ政策が行き過ぎて国民の不満が高まってくると大白のイメージもだんだん悪くなってしまいました。ベイマックスもいいとばっちりです。

杨过(ヤングオ)

杨过(ヤングオ)はもともと金庸の小説「神雕侠侣」の主人公です。金庸の作品は歴史と創作を織り交ぜた壮大な大河小説で、中華圏では非常に人気があります。なので、杨过の名前は中華圏の人ならだれでも知っているのですが、陽性になったという意味の「阳过(ヤングオ)」と発音が同じなので、コロナの陽性になった、という意味で使われるようになりました。ちなみに陽性になってから回復すると杨康(ヤンカン)になります。杨康は杨过のお父さんですが、「阳性(ヤンシン)」陽性になってから「康复(カンフー)」回復したという意味が込められています。

宝鹃嗓(バオチュエン サン)

中国の時代劇は最近日本でも放送されるようになってきましたが、中国で特に人気があったのが、甄嬛传(チェンファンチュアン)です。日本では「宮廷の諍い女」というタイトルで放送されていますが、そのシーンで、女主人がある日自分の声が出なくなっていることに気づき、召使を呼ぶのですが、その様子がコロナにかかって声が出なくなっているのによく似ているので、ネット上でそのシーンがやたらと拡散されました。宝鹃(バオチュエン)は召使の名前で、(サン)は喉の意味です。声が出なくなったのは女主人で、宝鹃は別にのどはどうもなっていないのですが、このシーンのインパクトが強くて、コロナの代名詞になってしまいました。