桃の缶詰がコロナに効く?

いま中国で桃の缶詰が爆発的に売れています。ECサイトではどこも完売、スーパーの棚からも姿を消しています。中国語で桃の缶詰は「黄桃罐头(ファントウ グァントウ)」ですが、もともと中国の東北地方で、風邪の時は桃の缶詰を食べるとよいという言い伝えがあって、SNSで「コロナにかかったら桃の缶詰を食べるとよい」といううわさが広がり、数日で一気に中国全土に広がったようです。

中国ではこれまでゼロコロナ政策がかなり厳格に実施されていました。感染者の疑いがある人が一人いるだけでマンションやショッピングモールが閉鎖になるなど市民生活への影響は大きく、ウルムチでマンション火災があって死者が大勢発生した時、ゼロコロナ政策のせいで被害が拡大したのではないかと言われたをきっかけに、各地でデモや暴動がおこる事態にまで発展しました。

ところが12月に入って中国政府は政策を一転させ、コロナの規制を突然撤廃し、どこへ行くのにも検査が要らなくなりました。あまりに急に規制を撤廃したので、コロナの感染者が急増し、いったい感染者が何人いるのか、だれも把握できない状況です。一家が次々と感染したという例もよく聞きます。感染した人がこぞって桃の缶詰を買い求めた結果、大ブームになっってしまったというわけです。

日本にも、子供の時に風邪にかかったら、お母さんが桃の缶詰を食べさせてくれた、という話が私が子供のころはありました。中国の東北地方と言えば旧満州ですから、コロナに桃の缶詰がよいという言い伝えは、ひょっとすると日本の風習の影響かも知れません。冷蔵設備がなく、果物が高級品だった昔は、桃の缶詰はごちそうでした。ただ、中国も豊かになって、新鮮な果物が普通に手に入るようになってから、桃の缶詰の需要は減少していました。今回のブームも、おそらく一時的な流行で終わることでしょう。