テンセントが介護事業に出資

中国の在宅介護サービス最大手の福寿康(フーショウカン)に、テンセント系列の投資会社の广西腾讯创业有限公司が出資をした、というニュースが流れています。テンセント(腾讯)は中国の巨大IT企業ですが、いよいよ介護事業に投資し始めたと注目されています。

日本では介護関連の施設は、老人ホーム、デイサービス、在宅介護などいろいろな呼び名がありますが、中国語ではこうしたサービスはすべて养老院(ヤンラオユエン)と呼ばれています。中国ではまだまだ介護サービスが発展していないので、単語も少ないのではないかと思いますが、これから中国も本格的な高齢化を迎えますので、施設が多様化していけば、呼び名の方も新しい言葉がさまざま作られてくるかも知れません。

中国の第一次ベビーブーム世代は1950年から1957年に生まれた世代で、第二次ベビーブームが1962年から1975年に生まれた世代と言われています。大躍進政策の失敗と文化大革命による混乱で、ベビーブームの起こり方が変則的ですが、この二つの世代で5億人の人口がいます。第一次の世代はすでに70代を迎え、第二次の世代は60歳から47歳と、高齢者予備軍となっています。あと10年ほどで中国の高齢者人口は2.6億人になると言われ、介護事業は巨大市場になるとみられています。

福寿康は中国の50都市以上に事業を拡げ、200か所以上の医療・介護施設を展開しています。創業者の张军(ジャンジュン)は上海の出身ですが、九州大学の商学部に留学していた経験があり、日本の介護サービスのやり方を取り入れるのにも積極的です。自分の父親の身体がよくなかったことから、将来の介護の問題を心配したことが、この事業を創業した一因となっているようです。中国には介護保険制度はないので親を介護する国民の負担は重く、老後を安心して暮らすには、年収の10倍の貯蓄が必要だ、という話もあります。日本でも「老後のために2000万円準備しなくてはならない」という話が議論を呼びましたが、中国では国を挙げて対策を取らない限り、より大きな社会問題となりそうです。