上場を狙う麻辣湯(マーラータン)

楊國福麻辣湯(杨国福麻辣汤ヤングオフー マーラータン)が香港市場に上場を計画しているというニュースが出ていました。

麻辣湯(マーラータン)は日本ではあまりなじみがありませんが、中国では多くの麻辣湯チェーン店がしのぎを削っていて、最大のチェーン店がこの杨国福麻辣汤です。中国では6000店舗を展開しているとのことですが、日本のレストランチェーンと比較すると、ガストが1328店、マクドナルドが2942店舗なので、6000店舗はすごい数です。杨国福は日本にも池袋や大久保、渋谷などに出店しています。辛い味のスープの鍋に春雨が入っていて、肉や野菜など、自分で好きな具材を選べるところが人気の理由です。基本のセットは700円~800円くらいですが、いろいろトッピングを追加すると、軽く1500円は超えます。麻辣湯は火鍋と違って一人用の鍋なので、一人のお客さんでも利用できます。

もう一つ、麻辣湯のチェーンで大きいのが张亮(ジャンリャン)です。张亮も日本に進出していて、大久保などに店舗があります。杨国福と张亮に共通しているのは、創業者が東北地方出身ということです。東北地方はもともと辛い物を食べる土地柄ではありません。それなのに辛い料理のレストランを展開しているのは、ちょっと不思議な感じがします。日本もバブルのころに激辛ブームが起こって、日本人の味の嗜好が変わったと思います。今でもテレビで激辛料理の特集がしょっちゅう組まれるくらい、辛い物が好きな人が多くなりました。中国の人たちも経済が発展するにつれて、辛い物を食べるようになったと思います。四川料理のお店は中国各地で見られますし、水煮鱼(シュエチューユィー 魚をうま辛く煮た料理ですが、真っ赤で非常に辛い)も一時ブームになりました。経済発展すると辛い物を食べるようになるのは、日本と中国で共通しているようです。杨国福は豚骨スープや牛乳を使って、四川料理にはない独特の味を作り出しているところが、人気の秘密のようです。

杨国福は8000店舗の出店を計画してますが、市場の反応は「麻辣湯の店が上場するの?」という感じのようです。すでにビジネスモデルは出来上がっていて、イノベーションはあまり期待できないというのが市場の見方のようです。日本でも麻辣湯がどのくらい浸透するか、期待したいです。