Temuの挑戦

以前こちらで取り上げたTemuのその後の状況です。アメリカで1億人が視聴すると言われる「スーパーボウル」、NFL(アメリカンフットボールリーグ)の決勝戦が2月13日に行われました。アメリカ最大と言われるスポーツの祭典だけに、ハーフタイムショウに著名なスターが出演したり、試合以外のことも話題になります。CMもそのひとつで、毎年さまざまな大企業が、巨額な資金を投じてCM枠を奪い合いますが、今年のスーパーボウルではTemuが1400万ドル(約19億円)を投じて30秒のCMを2回放送しました。

30秒で700万ドル(9億4000万円)という金額はスーパーボウルのCMで過去最高額です。これだけの金額を出せるのも、Temuを運営しているのが中国のEC大手、拼多多(ピンドゥオドゥオ)だからです。SHEINが中国市場では全く無名であるのに対し、拼多多は阿里巴巴(アリババ)京东(ジンドン)に続いて中国3位のEC企業で、その資金力や流通網を活用して、米国進出をもくろんでいます。ちなみにCMのキャッチコピーは「Shop like a billionaire」、中国語にすると「你可以像亿万富翁一样购物」です。ビジネスモデルはSHEINのやり方に似ていて、プラットフォームが価格決定権まで持つのが特徴です。つまり、Temuが安く売りたいと思ったら、サプライヤーの承諾を得ずに割引することができます。強権的でスピード感満載で、いかにも中国らしいビジネスモデル、という感じがします。

ちなみに日本の楽天も「Rakuten」の名前で、今回のスーパーボウルにCMを放送しました。昨年も放送しているので今回で2回目です。女優のアリシア・シルバーストーンさんを起用し、彼女が主演を務めて大ヒットした映画、「クルーレス」の世界観を現代によみがえらせたような作りになっています。果たして日中のEC企業の競争がこの先どうなるのか興味深いところです。