50kgのダイエット

毎年春節の時期は、中国では映画が盛り上がります。大型連休で映画を見に行く人が一年で一番多くなる時期なので、各映画会社がこぞって大作を放映するのが伝統になっています。年の初めなので、大年初一(ダーニェン チューイー)と呼ばれます。

今年の春節の映画で一番話題になっているのは、热辣滚烫(ラーラー クンタン)という映画です。社会に適合できず、家で引きこもりの生活を送っていた女性が、一念発起していボクシングに打ち込み、人生を変えていくというストーリーで、安藤サクラさんが主演を務めた「百円の恋」をリメイクした映画です。

話題になっている理由は、主演で監督も務める贾玲(ジアーリン)の変貌ぶりです。贾玲は日本風に言えば「女芸人」で、漫才もできれば、演技もできて、ふっくらした外見で明るいキャラクターの、中国では知らない人がいない芸能人です。3年前、主演と監督を務めた映画「こんにちは、私のお母さん」(你好,李焕英 ニーハオ リーファンイン)は大ヒットし、中国で歴代3位に残る興行収入を収めました。すでに芸能界の成功者であるはずの贾玲が、これまでのキャラクターを捨て去って今回の映画の役になり切り、本気でボクシングに取り組んだ結果、驚くほどのダイエットを成功させました。减肥100斤(ジエンフェイ イーバイチン)というので、1斤は500gですから、50kg、ダイエットしたと公表されています。もともとふくよかな見た目でしたが、今はすっきりとした美人になり、声まで変わってしまいました。

春節の2月10日から14日までの5日間で、17.21億元(約350億円)の興行収入をあげたと発表されています。すでに「千と千尋の神隠し」の日本の興行収入の316億円を上回っていますので、そのすごさがわかります。今、中国は不景気なので、映画のような割と手軽な娯楽に、消費が集中しているという影響もあると思いますが、何より贾玲のダイエットのインパクトが圧巻です。ネットに映像が流れているのでぜひ見ていただきたいですが、ビフォアとアフターがあまりに違っているので、気を付けていないと同一人物と気づかないかも知れません。