「小衆」と「小資」

中国には「大众」(ダージョン 簡体字で「大衆」のこと)という言葉に対比して「小众」(シャオジョン 日本の漢字で書けば「小衆」)という言葉があります。「小众」は、よりコアな層に人気があるもの、少数派のことを言います。日本も経済発展するにつれて、人々が、人とは違ったもの、より自分らしいものを求めるようになりましたが、中国も豊かになって、人と違うものを求める志向が強くなりました。その結果、お店や音楽や車など、より「小众」を志向したものが人気を博しています。

もうひとつ、「小资」(シャオジー)という言葉があります。こちらは小资本阶级(小資本階級)の略で、日本にも共産主義華やかなりし頃は「プチブル」という言葉がありましたが、「小资」も文化大革命のときは、共産主義革命の敵として打倒する対象でした。しかし最近は「小资」というと、余裕があってちょっと贅沢ができる、趣味のよい人々のことを指すようになりました。

「小众」、「小资」どちらも豊かになった中国の、中産階級の文化を表す言葉だと思います。「爆買い」に象徴されるような、だれもが同じものを求める時代は終わりを告げ、より自分らしさを求めた消費行動に変わって行っていると思います。