今年のダブルイレブン

11月11日は中国のネットショップ業界では1年で最大のセールが開催される日です。日本のメディアでは「独身の日」と紹介されますが、いま中国でその呼び方がされることはあまりありません。「双11(シュアン シーイー)」という、「ふたつの11」という呼び方が一般的なので、「ダブルイレブン」という呼び方の方が適切だと思います。

ところで、今年2023年の「双11」ですが、天猫(ティエンマオ)と京东(ジンドン)が熾烈な割引合戦を繰り広げましたが、中国経済の不景気の影響を大きく受けて、なかなか苦戦したようです。10月31日から11月11日までの売上高は、1兆1386億元(約22兆7000万円)で、昨年より2.08%伸長と、かろうじて昨年を上回った結果になりました。それでも、セールの主力商品である、家電、スマホなどのデジタル機器、アパレル、化粧品などは、昨年より売上高が減少しており、ライブコマースから誘導された売り上げが、全体を押し上げたようです。

消費を刺激するために、天猫が「全网最低价(ネット上最安値)」を掲げて、他よりも商品が高かった場合は賠償するなどの施策を取れば、京东やそれ以外の会社も割引を競いました。消費者は次々と変わる価格を比較しながら、最も安いところを探しつつ、購入には慎重な態度を取り続けました。その理由は、景気の先行きが不透明であることとに加え、毎年繰り返される「双11」のセールに疲れてきたためと考えられます。安ければ買うという単純なものでなくなったということは、中国の消費者市場が成熟してきた証しかも知れません。