中国の電力不足 3つの原因

中国で電力が不足していると、日本でも報じられています。アップルやテスラに部品を供給している工場も、操業停止に追い込まれているといいます。中国で電力不足が発生したのには、3つの原因があると言われています。

一つは中国経済の復調(产能突增 チャンナントゥーツァン)です。今年8月の中国の輸出額は昨年対比25.6%、輸入額は33.1%増加したそうです。その結果工場は操業を延長し、大幅に消費電力が増加しました。

もう一つの原因は石炭の価格の高騰 (煤价高企 メイジアーガオチー) のために電力会社が発電量を抑えたことがあります。中国の電力価格は政府によって統制されているので、電力会社は原価の高騰を価格に転嫁することができません。発電すればするほど赤字になってしまうので、電力会社は発電量を抑えることになります。

もう一つは「能耗双控(ナンハオシュアンコン)」といわれています。これは政府がエネルギー消費量と消費強度の両方を減少させる政策で、CO2排出量を削減するため、8月に国家発展改革委員会が2021年上半期の計画達成度の「晴雨表」を発表して、19の省が達成が危ぶまれると警告されました。今回電力不足に陥った江蘇省、広東省、雲南省などが、そこに含まれています。

中国の電力価格は政府によって比較的安く設定されていましたが、いまだ経済が成長を続け、消費電力は増加するの一方、カーボンニュートラルのコストを誰かが負担しなくてはならず、中国のエネルギー構造や電力市場は、長期的な改革が必要のようです。