700億元の通報

中国の大手自動車メーカー長城自動車(长城汽车 チャンチョン チーチャー)が、BYD(比亚迪 ビーヤーディー)のハイブリッド車の一部車種が排ガス基準を満たしていないと、当局に告発した、と5月25日に発表がありました。

長城自動車と言えば、1984年に設立された中国の自動車メーカーの老舗で、共産党幹部が乗るような高級車のイメージがありました。社名の「長城」は万里の長城から来ています。2014年からはSUVの生産を主力とし、欧州などへも輸出しています。SUVに経営資源を集中したことは功を奏し、2021年には販売台数128万台を記録し、創業以来最多を更新しました。

しかし、EVに強みを持つBYDが2022年に大躍進して、生産台数186万台を記録し、長城自動車を追い越します。長城自動車の「神車」だった哈佛(Haval)H6はBYD躍進の影響を受けて、2021年の37万台から、2022年は24万台まで販売台数を落としています。老舗メーカーとしては新興勢力に首位の座を奪われ、忸怩たるものがあったのでしょう。

ハイブリッド車には燃料タンクに圧力式タンクを使わなくてはならないのですが、BYDの秦PLUS DM-iと宋PLUS DM-iで非圧力式タンクが使われていると通報されました。この2車種はどちらもBYDの売れ筋で、すでに60万台以上を販売しています。もしこの通報が事実だとすればBYDは700億元以上の罰金を支払わなくてはなりません。

まだこの通報の真偽のほどは明らかになっていませんが、中国自動車市場の変化の速さと、手段を選ばない競争には、恐ろしいものを感じます。