恒大グループの創業者が自殺?

中国の不動産企業大手の恒大集团(ハンダー ジートゥアン)の経営危機は、日本でも大きく報道されました。中国の経済発展と地価の高騰とともに巨大グループに成長し、サッカーチームを抱えたり、EV事業に進出したりと話題に事欠かなかった恒大ですが、新型コロナウイルスの流行と、中国政府のゼロコロナ政策で中国経済が失速すると、これまでの大胆な拡大戦略が裏目に出て、マンションを購入した顧客に引き渡しができなくなるなど、業績が極端に悪化しました。

しかし、そのニュースが報じられてから1年以上たちますが、まだ恒大集团が倒産したという話は聞きません。中国の金融市場は不透明なので、なぜ経営が続けられるのか理由はわかりませんが、そんな中、12月2日に恒大集团の創業者、许家印(シュー ジアーイン)が自殺した、といううわさが中国のSNSで拡散されました。恒大集团のグループのビルから飛び降りた、とビルの写真付きで拡散され、いかにも事実のように言われてきましたが、そのうわさを打ち消すかのように、恒大集团のホームページに、许家印がグループの幹部と会議をする様子の写真がアップされました。幹部がみなマスクをしている中、许家印だけはマスクをせず、マンションの生産が復活したことと、完成したマンションを顧客に引き渡しする状況を従業員に向かって説明しました。

恒大集团は本当に復活しつつあるのか、许家印の自殺のうわさはなぜ流出したのか、真相はよくわかりません。恒大集团の自作自演の可能性もある、とうわさされています。なお、许家印はネット上では「皮带哥(ピーダイガー)」というあだなで呼ばれています。直訳すれば「ベルトの兄さん」という意味ですが、许家印がバックルにロゴの入ったエルメスのベルトを着けながら、誇らしげに歩いている姿(添付の写真)がネットで拡散したことからつけられた名前です。若々しい整った顔立ちで、女優の范冰冰(ファンビンビン)と付き合っている、といううわさもあります。「哥」は「兄さん」という意味ですが、日本語の「兄さん」よりは意味が広く、10代から割と年配の方まで、男性を指すのに広く使われます。

ここにきて、中国政府がこれまでのゼロコロナ政策を一変させ、これまで規制を次々と撤回しています。毎日のPCRが義務付けられていましたが、突然検査をしなくてよくなったり、あまりの変化の激しさに市民も戸惑っているようですが、もしゼロコロナ政策が撤廃されて経済が上向きに変われば、恒大集团にも復活のチャンスがあるかも知れません。日本人の想像を超える、中国経済のダイナミクスです。