鸿蒙の作る世界

中国政府に機密情報を漏洩しているとして、トランプ政権下のアメリカがファーウェイ(华为)に対して規制を強め、2019年にGoogle がファーウェイの携帯がアンドロイドを使用することを禁止したのは記憶に新しいところだと思います。6月2日、ファーウェイはアンドロイドに代わる自社開発のOS「鸿蒙」(ホンモン)を販売しました。世界の携帯の勢力図がこれで変化するのかどうか、注目されます。「鸿蒙」(ホンモン)は中国の創世神話に関わるネーミングです。もともと混沌として天と地がくっついていた世界を、巨大な神の「盘古」(パングー)が一日一日成長して、1万8000年かけて天と地を分けて世界を作ったというのが中国の天地創造の物語ですが、彼が天地を分ける前の混沌とした世界を「鸿蒙」(ホンモン)と言います。世界の始まり、ということから名付けたネーミングだと思われます。「鸿蒙」(ホンモン)は英語名はHarmonyです。発音から名付けられたと思いますが、「鸿蒙」にはもともと混沌というニュアンスがあるので、Harmonyとは意味がだいぶずれているように思いますが、Chaosという名前ではイメージが悪すぎるでしょう。混沌というものに対する東西文化の感覚の違いも感じさせられます。