SHEINはユニクロを超えるか

いま最も注目されている中国のユニコーン企業が、オンラインファッション小売のSHEIN(シーイン)です。中国語では希音(シーイン)と言って、発音もそのままで漢字も何か縁起のいい印象です。2008年に創業された、南京に本社を置く企業ですが、2015年からSHEINというブランドでショッピングサイトを開設し、アメリカではすでにアマゾンを超えてダウンロード数1位を獲得し、今年4月には時価総額で1000億ドルを超えると見積もられました。これはZARAとH&Mの時価総額の合計を超える金額で、世界一のeコマースファッション企業になったと言っても過言ではない状況です。

しかし、日本での知名度もまだこれからですし、本拠地の中国でもほとんどその名前を知られていません。その売上高の大部分は北米で稼いでいて、ケイティ・ペリーをはじめとしたSNSのインフルエンサーを活用した宣伝広告が功を奏し、アメリカのZ世代に幅広い支持を獲得しています。価格の安さと、商品サイクルの速さで、H&MやZARAを凌駕しています。

アプリは日本語にも対応してるので、興味のある方はぜひご覧いただければと思います。どれも価格は安めですが、特にアクセサリーなど雑貨類が激安です。私が常々高いと思っていたスマホケースは300円くらいから売っています。超円安と言われる日本でも安さを感じるのですから、アメリカの若者からすれば、非常に魅力的な価格に映るでしょう。

SHEINは自社工場を有しておらず、ユニクロやZARAのようなSPAではありません。その代わりに広州を中心に300~400というコアサプライヤーからなる巨大サプライチェーンを有し、ECに特化した広告宣伝や商品戦略でここまでの成功を収めたようです。

とはいえ、2020年には250%に達したSHEINの売上増加幅も2021年には60%に縮小し(それでもすごい数字ですが)、投資家の中にはSHEINの成長を不安視する声が増え、7月には時価総額の見積もりが1000億ドルから30%縮小したというニュースも出ています。さらなる成長を求めて、SHEINは欧州への進出を本格化するそうなので、今後の動向が注目されます。