Temuの脅威

アメリカの通販市場を制覇したSHEINに、新たな脅威が生まれました。

SHEIN(希音 シーイン)は以前こちらで紹介しましたが、アメリカの若年層を中心に急速に支持を集め、2021年の売上高は約1兆9400億円に達し、2022年の時価総額は約12兆3700億円と、ファーストリテイリング(6兆3800億円)、ZARA(8兆5380億円)、H&M(2兆5038億円)などを大きく引き離しています。日本の若い人の間にも、SHEINのファンが徐々に増えています。

そんなSHEINの成功を見て、アメリカ市場に本格的に進出したのが拼多多 (ビンドゥオドゥオ)です。Temuというプラットフォームを今年の9月に立ち上げると10月18日にはアメリカの無料ショッピングアプリのランキングの1位を獲得し、1日の平均売上総額は150万ドル(約2億1000万円)を突破しました。今年の年末には月間の売上を3億ドルから5億ドルにすることを目標としていて、SHEINに迫る勢いを見せています。この快進撃を達成するために、Temuは一か月でおよそ10億元(約200億円)の広告費を、FacebookやTikTokに費やしたと言います。

Temuの魅力は、なんと言ってもその安さです。Temuのサイトを開くと、デスクライトは6ドル、スマホケースは0.99ドル、ネックレスは0.34ドルと、1ドルを切る商品が並んでいます。拼多多は中国では安さを売りにして、アリババに次ぐネット小売企業の地位を確保していますので、その財力に物を言わせてアメリカ進出をもくろんでいます。SHEINを露骨に標的にしていて、SHEINで働いた経験のある人を積極的に採用し、本部の場所までSHEINの近くに作ったほどです。中国企業の栄枯盛衰はダイナミックで、今年の勝者が来年には敗者になっているかも知れず、目を離せません。